チャリンコタクシー



ダルエスサラームからインド洋を背に西へ約490km、長距離バスで約7時間の内陸部にタンザニアの首都ドドマがある。ドドマは、広大な農村地帯を抱えるドドマ州の州都でもあり、いったん街を離れると広い広い大地に村が点在し、主に農業と放牧を営む人々が暮らしている。

そんな村のいくつかを訪れたとき、移動手段として活躍したのが自転車だ。自転車は点々と離れた村と村を移動するには最適の乗り物である。赤土のデコボコ道を1時間、2時間、場合によってはそれ以上、こいでいく。刺すような日差しの中、一面に広がる畑と、ぽつぽつと生えているバオバブ、そして遠くに見える山々を眺めながらこいでいると、思わず深呼吸をしてここにいる幸せを噛みしめてしまう。

ただ、道路によってはデコボコが激しかったり、突然砂地になったり、巨大な水たまりが立ちふさがったりするので、慣れない私たちがこぐとタイヤを取られて転びかねない。そんなとき頼りになるのが自転車タクシーだ。

「自転車タクシー」とは私たちが勝手につけた名前だが、村の若者たちが自分の自転車の荷台に人や荷物を載せて希望の場所までこいでいき、代金をもらうシステムのことである。街から伸びる幹線道路のバス停には彼らが常駐していて、バスが止まると待ってましたとばかりに自転車をひいてわーっと乗降口に群がる。幹線道路から離れた村へ行くお客さんを捕まえるためだ。彼らは前述のような悪路も慣れたもので、後ろに人を乗せてスイスイ走る。

自転車タクシーに乗っている間、後ろから彼らを観察してみると、首筋には玉の汗が流れているものの、長時間こいでも息も上がらず、一緒に走っているタクシー仲間と延々大声で会話をしている。そんな彼らの背中を目の前に、さわやかな風を浴びながら流れていく景色を眺めるのは、とても贅沢な気分だ。いつか道路が舗装されて、バスが通るようになったとしても、自転車タクシーはなくならないでほしいと思ってしまうほどである。 (C)

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