雨季

タンザニアは、雨季と乾季があって、乾季には雨はほとんど降らない。雨季に入ると、毎日ずっと雨というわけではないが、しとしと降り続ける日や、どかっと雷雨が降る日などが断続的に続く。

雨が降ると、農業をしている人たちは大事な畑の作物の世話に忙しくなる。雨が降った次の日には、早朝から畑へ行って仕事をする。作物は雨ごとに成長し、豊かな実りをもたらす。それに雨は生活のための貴重な水源でもある。土の味がする地面から汲んだ水より、集めた透明な雨水は飲み水として最高においしいし、遠くまで水汲みに行かなくても、軒先で集めることができるから素晴らしい。
一方、雨季ならではの災害も多い。一晩の雨で作物が軒並みなぎ倒されたりすることもある。旅行者にとって一番大変なのは、道路事情だ。ドドマの村では、土の道路が巨大な水たまりだらけになって、車がスタッグして頻繁に立ち往生する。

一見整備されているように見える都市部でも、状況は同じだ。ザンジバル島のストーンタウンの中は建物と建物の間を迷路のように細い道が通っているから、雨水が道に集まり、川のようになる。水が引くまでじっと待つか、膝まで浸かって歩くしかない。

ダルエスサラームの大きな道路も、場所によっては一面水浸しになる。
ある日、こんなことがあった。
街中の出入国管理所(イミグレーション)へ行ったのだが、手続きをしているうちに雨が降り、外へ出たころには正面の道路が幅10mくらいの川になってしまっていた。両岸は人だかりで、多くの人は仕事用のスーツやきれいな服を着ているから渡ることができないでいる。ちょうど昼食時で、私は早く向こう岸にある食堂へ行きたかったのだが、水は道路のゴミや排水と混ざっていて汚いだろうし、誰も渡ろうとする人はいないのでしばらく動向を見守ることにした。

突然、露天の若者がソーダのケースを運ぶカートを持って水の中に入り、「渡し屋」を始めだした。若者は明るく「これに乗って渡れば濡れずに済むよ。誰が乗る?」と言うのである。スーツ姿の女性などが数人、渡してもらっていたが、その姿があまりに滑稽で注目を浴びたのであまり流行らなかった。ただ、おかげでそれまで困った表情だった人々の気持ちが緩んだのか、1人、また1人と靴を脱いで道を渡りだす人が出てきた。私も便乗して裾をまくっていると、「そうだ。お前はそうすればいい」とスーツのおじさんに後押しされ、サンダルを脱いで道を渡った。

結局、歩いて30秒もかからない道のりに30分以上もかけてしまったが、不便だからこそ生まれた、思いがけないドラマは、雨季の思い出のひとつとなった。
雨季の旅行は不自由することも多いが、雨のありがたみや、雨の力を身をもって体験したり、人との絆が深まったりすることもあるかもしれない。(C)

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5月のある日のダルエスサラーム。道路が一面水浸し!!

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